RSUがVestされたけど確定申告って必要なのかな・・・?
売却して損失が出てる際も確定申告が必要なのかな・・・?
転職して1年が経過し、ついにRSUがVest(権利確定)され自分のものになりました。
自分のものになったは良いものの、「RSUって確定申告は必要なの?」という疑問が頭をよぎります。
この記事では、RSUがGrant(権利付与)され、Vest(権利確定)、そしてSell(売却)するそれぞれの場面で、確定申告が必要かどうかをわかりやすく解説します。
RSUとは
RSU(Restricted Stock Units)とは外資系企業を含む多くの企業が採用している従業員への報酬形態の一つです。
RSUは、企業が従業員に対して特定の条件(例えば、入社時、高い評価を得た)が満たされた際に、会社の株式を無償で付与する制度です。
この制度の大きな特徴は、従業員が直接購入することなく、企業の成長や業績の恩恵を受けられる点にあります。
ただし、RSUが付与されたからといって、すぐに売却して、現金化できるわけではない点に注意が必要です。
具体的には下記ステップを踏んで売却することができます。
入社時など、特定の条件が満たされた際に付与されます。
この時点では権利が付与されただけであり、権利はまだ確定していないので、自分のものではありません。 (今後条件が満たされた際に、もらえる権利を得ただけ)
条件が満たされ、権利が確定し、ここで初めて自分のものになります。(株を売却する権利を得ただけ)
どのタイミングでGrantされた株がVestになるかというと、たとえば入社時に「200株が5年間で割り当てされる」を付与された場合は、
1年目:40株 Vest
2年目:40株 Vest
3年目:40株 Vest
4年目:40株 Vest
5年目:40株 Vest
このように、Grantされた株200株は「5年間ずっと辞めずに在籍する」という条件を満たすことによって、初めて社員のもの(Vest)となります。
会社によって多少の違いはありますが、すぐにVestになることはなく、通常は4年〜5年かけて少しずつVestされるのが一般的です。
これは優秀な社員を退職させないための仕組みであり、株価が上昇することで個人の利益も増え、従業員の業績向上へのモチベーションにもつながります。
Vestされた株を売却して、現金化することができます。
ストックオプションとの違い
RSUとよく比較されるのがストックオプションです。
主な違いは、ストックオプションが従業員に一定の期間内に一定の価格で自社の株式を購入する権利を与えるのに対し、RSUは特定の条件を満たすことで株式が直接与えられる点です。
ストックオプションでは、株価がオプションの行使価格を上回った場合にのみ価値が生まれますが、RSUは株価の変動に関わらず、条件を満たせば株式を受け取ることができます。
このため、RSUは従業員にとって、リスクがなく確実性の高い報酬と言えます。
RSU確定申告が必要になるパターンと不要なパターン
RSUで確定申告が必要になるシーンは「権利確定(Vest)」と「権利売却(Sell)」です。
① Vest(株の権利を得たタイミング)→必ず確定申告が必要
株が自分のものになったため、「給与所得」として確定申告が必要になります。
たとえ売却していない場合でも、その年の確定申告は必須ですので、注意が必要です。
Vest時は少額でも、必ず「給与所得」として確定申告が必要になるので注意しましょう
Vestされた日の株価 × 株数 × 購入時為替レート(TTM)
※TTMとは金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことです。MUFGのこちらのサイトで特定の日のTTMを確認することが可能です。
上記で計算した金額を「給与所得」として確定申告いたします。
② Sell(株を売却したタイミング)→売却益が出たら確定申告が必要
株を株式市場で売却し、売却益が出た場合は、「譲渡所得」として確定申告が必要です。
ただし、Vestされたタイミングでの株価よりも下落して売却し、損失が出た場合は、売却益が発生していないため、確定申告は不要です。
売却時に損失が出ている場合は、売却益が発生していないので、確定申告は不要です。
売却額➖購入金額{Vest時の株価×株数×Vest時の為替レート(TTM)}
※TTMとは金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことです。MUFGのこちらのサイトで特定の日のTTMを確認することが可能です。
上記で計算した金額を「譲渡所得」として確定申告いたします。
まとめ:RSUは必ず確定申告が必要!
- Vest:必ず「給与所得」として確定申告が必要
- Sell:売却した際に売却益が発生したら、「譲渡所得」として確定申告が必要
RSUは非常に魅力的でモチベーションを高める報酬ですが、株を売却していない状態でも、Vestされたタイミングで確定申告が必要になります。
さらに、Vestされる金額が大きい場合は、キャッシュを手にしていない状態で多額の納税が必要になることがあり、この点には注意が必要です。
確定申告における税金の計算方法についても簡単に触れていますが、実際には会社から提供されるRSU管理用のアプリケーションを通じてレポートを取得できることが多いので、働いている会社の指示に従って、確定申告をしましょう。